まず犬舎の環境はとても大切です。湿気が少なく風通しの良い場所に3.3平方メートル以上の犬舎をもうけることが望ましく、夏は通風や換気に、冬は日当たりや季節風の遮断を良く考えて効率よく設置して下さい。
犬舎は自ら手がける方法もありますが、既製品も多く出回っていますので、その中から選んでもかまいません。環境にもよりますが出来るだけ広い運動場(12平方メートル以上)も確保してあげて下さい。
健康で気性の良い犬が育つ時期です。先天的に神経質な犬でもこの時期に慣らすことによって気性はほぼ治すことが出来ます。
5ヶ月くらいまでは運動場で慣らし、徐々に散歩程度に犬の反応を観察しながら色々な場所に連れていき、特に嫌がる物などは少しずつ時間をかけて根気よく慣らして下さい。
6、7ヶ月になったら朝、夕二回、徒歩での引き運動を覚えさせていき、運動後は毛の表面についた水滴や汚れなどを、堅く絞ったタオルなどで拭き、被毛や皮膚を清潔に心がけて皮膚病などを予防して下さい。
生後20日までは母犬の授乳で十分ですが、子犬の出産数や母親の体調によってミルクが足りないと思われる時は、市販の犬用ミルクで哺乳してあげて下さい。生後20日以降は授乳に加えて補食が必要になってきます。
母犬の食事も少しずつ食べるようになってきますので、少し柔らかめの食事を与えたり、皿状の食べやすい食器に切り替えたりなどの配慮も良いでしょう。補食は量よりも回数を多くすることを心がけて下さい。
生後2ヶ月位になると普通の食事だけに切り替えます。この頃に新しい飼い主に迎えられる子犬も多いので、その機会に切り替えるのも良い手段です。食事の量はだんだん多くなってきますので、この頃に特に必要なカルシウムなどを多く加えるなど必要です。(中型犬は幼犬期にくる病にかかりやすいことが確認されています。)量は便の状態など見ながら与えます。
良い便の時は適量ですが、軟便の時は食事の量を少し減らしてあげて下さい。下痢などの場合は一食ないし一日絶食させると治ります。必ず新鮮な飲み水もたっぷり用意しておくことを忘れないで下さい。食事は市販のドッグフードでも家庭の残り飯などに魚や肉などを加えたものでも結構です。
四国犬は元来より粗食の傾向にあり、それゆえに体型や気性が現在まで保たれて来たと言っても過言ではないと思います。それゆえ幼犬期から必要以上な嗜好品などむやみに与えすぎぬよう心がけて下さい。
若犬期(生後8ヶ月から1年6ヶ月くらいまで)この頃から本格的な運動が必要になってきます。朝、夕に3、40分くらいかけて引き運動を行いましょう。将来の骨格形成や前胸の発達につながります。
展覧会に出す犬はこの頃から徐々に立ち込みの練習をして下さい。身体各部の審査は正しい駐立姿勢を保つ犬を基本として行われるので、なるべく長い間緊張して立っていられるよう訓練を心がけて下さい。
雌犬は発情がありますが、四肢が十分に発達していない一年未満の出産はさせないほうが無難です。
引き続きカルシウムや良質の蛋白質など新鮮なものを、運動量を見ながら充分与えて下さい。市販のドッグフードは栄養が手軽に充分とれるので便利です。
壮犬期(生後1年10ヶ月から2年10ヶ月くらいまで) 犬の長所、短所がよく現れてくる時期です。一日10キロくらいの本格的な運動を徒歩または自転車などで行い、筋肉の発達した良い犬を作って下さい。
素晴らしい素質を持った犬でもこの頃の充分な管理がいきとどいていないと素地のまま埋もれてしまうかもしれません。交配させるのにも良い時期ですので、親犬の持つ優れた素質を持った子犬がたくさん生まれるよう考慮して作出を行って下さい。
食べ盛りの時期は過ぎ、食欲は安定してきます。運動と食事の量を加減しながら、与えて下さい。
成犬期(2年10ヶ月以上)いよいよ幼犬からの管理の積み重ねの結果が現れる時期です。成熟した肉体は四国犬の魅力を最大限に引き出しています。この頃は体形がくずれたりせぬよう健康管理をしっかりと行い、体調の悪いときなどは運動量を減らすなど心がけて下さい。犬も身の回りの状況をよく覚えるようにもなってきますので、比較的飼育のしやすい時期です。
7年目くらいから歯牙がだんだんと衰えて太れない体質になり、いわゆる老犬期になってくると、運動も以前のようにこなせなくなってきますので、徒歩のみでゆっくりと引き運動させるようにするなど、最後までいたわって飼育を全うしてほしいものです。
食事特に壮犬期と変わりないのですが、雨天の場合などあまり動かず、食欲が減退する犬も時々見られます。こういう例を目安にして普段から食欲のある犬はおおむね健康状態が良好だと考て良いと思います。また老犬期にさしかかると歯牙が部分的に弱ったり、磨滅してきたりするのでなるべく犬の好みの柔らかいものを与えてあげるようにしたいものです。暑いときは食欲が落ちる老犬もいるようですので、回数よりも内容をよく吟味して長く、健康に生きられるよう気を配ってあげて下さい。